何かを思い出す…そんな「香り」ありますか?

hot-chocolate-1006463_640何かの香りや匂いで昔の事を思い出したりすることがあるかと思います。「ココアって受験勉強のイメージ。もう相当昔なのにココアの香りがすると勉強しなくちゃって思う。チョコレートはそんなことないんだけど。」という方や、「アスファルトの匂いは小学生の時の夏休みのイメージ。」という方もいます。私はあるメーカーのラベンダーの香りで、建て替える前の祖母の家の二階の部屋が頭に浮かびました。そこにラベンダーがあったわけでは無いと思うので、なぜその部屋が出てきたのかはわかりませんが、皆さんもそんな風に、何かの香りで連想するモノ、思い出すことってありますか?

 

「プルースト効果」研究されています

匂いや香りが記憶を呼び覚ます効果の事を「プルースト効果」と言います。フランスの文豪、マルセル・プルーストが書いた長編小説「失われた時を求めて」に登場する主人公が紅茶に浸かったプチット・マドレーヌの匂いをきっかけに幼少時代を思い出す描写から名付けられました。
近年の研究によって、この作用は科学的に解明されつつあります。ラットの脳反応をfMRIで観察した昭和大学医学部の塩田教授の実験でも、嗅細胞から伝わった信号が嗅皮質を経て、さらに海馬を活性化することが認められたそうです。
海馬は直近から過去二年くらいの近い過去の記憶を蓄積する器官です。海馬を通じて匂い・香りの情報は大脳皮質に伝わり格納されます。つまり、においの情報は脳のあちこちに格納されていて、匂い・香りの刺激によって過去にあった「匂い・香りと結びついた出来事」を即時に引き出す作用があると考えられているのだそうです。その記憶を思い出す回数が多いほど神経回路が強固になり、より正確に思い出せることができるのは、私たちが経験的に知っていることでもあります。

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ティータイムは楽しく

しかし記憶は不要な部分が削除されたり、別な情報と結びついて違ったものになったりと、時間の経過とともに変化します。匂い・香りの情報と記憶がどう結びつくかが解明されれば、ちょっとした物忘れから深刻な認知症の対策、または受験勉強などの記憶術の手立てになりそうです。

思い出は思い出。

香りから思い出された記憶で切なくなることもあります。思い出したのが初恋の人だったり元カレだったりしたせいかもしれませんが、香りの情報は、大脳辺縁系の偏桃体という情動反応と記憶固定の働きをする部分にも伝えられるからです。「脳の反応」なだけですから、思い出は思い出としておきましょう。現状に不満があっても過去の人は過去の人、運命の人ではありません。

記憶に作用するローズマリーは花言葉も「思い出」「追憶」

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